25年入試情報
SKC会員の東大挑戦
今年SKCからは深志高の田村弘治君が東大文Ⅱに挑戦しました。高1の6月の募集で入会以来2年と8か月本当によく頑張りました。田村君の頑張りは年3回の折込広告また会員向けのニュースでもたびたび取り上げました。彼の頑張りは正しい努力をすれば学力は大きく伸びることを実証してくれ会員の励みにまた目標にもなりました。結果は本当にあと一歩及びませんでした。昔と違い今では得点開示があります。発表翌日には自宅にハガキで通知があります。合格最低ラインにあと10点届きませんでした。この結果を公開することでSKC会員また広く県内の関係者の皆さんに参考にしていただき長野県の東大現役合格者数低迷の現状を打開する糸口にしていただけたらと思い今回田村君同意の上で公開することにしました。
東大入試はセンター試験900点が110点に圧縮され2次試験が440点、合計550点での10点は悔しい、しかしこの10点こそが壁、東大入試の現実なのです。大学の得点開示と自己採点した結果を比較してみると各教科多少の違いはあるものの田村君の2次試験自己採点が合計237点、実際の得点が242点でわずか5点の誤差でした。この自己採点の精度はすばらしいの一言です。本番終了2日後の28日には予備校の模範解答をもとに自己採点報告書を作成してくれました。最後のまとめに次のように書いています。以上、全体で237点という自己採点の結果となったが採点を甘くしすぎた気がする。ただ100%落ちたという感じはしない。ギリギリで合格かギリギリで不合格かというところだろう。受かった気の方が強いことは確かだが果たして結果はいかに。このように結んでいます。事後の分析で数学が難化し20点以上合格ラインが下がるのは確実(実際は25点下がっていた)、教科ごとに田村君の得点を公表してみます。
配点は国語120英語120数学80日本史60世界史60、まずは国語56点、これは大健闘、現代文が書けたのです。駿台の実戦模試では第1回43点、第2回44点、現代文での得点がとても難しい、それでもあきらめずに直前は現代文の過去問対策に集中しました。1問1問本当に苦戦しましたが効果がありました。英語は74点、ここまでよく頑張りましたという得点です。8月の第1回実戦模試では56点で受験者平均点に2点足りない、がっくりです。英語で70点の目処がたたなければ合格はないということで11月の第2回実戦模試までは引き続き英語中心のメニューでいくことにしました。日本史が11月後半からで間に合うのか? 苦渋の選択です。計画では9月からは本格的に日本史を始める予定でした。夏の第1回の実戦模試では日本史はわずか6点、これが学校の定期試験上位レベルでの日本史の得点の実態、偏差値は39、東大日本史は単純な知識では対応できないのです。11月の第2回実戦模試、英語で手ごたえがでてきた、模試の結果は70点でした。
さていよいよ日本史です。教科書を読み直すところから対策が始まりました。1月になりセンター試験対策です。化学は全くやっていないので直前2週間、午前午後の時間は化学に集中、本番では過去問対策が上手く当たり80点がとれ1次通過を確信、そして再び2次対策、日本史さらに世界史も仕上げが残っている、最後は現代文古典もやらなくては・・・朝は毎日数学の過去問、夜は英語の過去問対策と1教科づつ進度を確認整理しながら毎日夜11時には電話で打ち合わせ、そして本番では日本史が何と42点も取れていました。東京出発直前には学校の日本史・世界史の先生にも大変お世話になりました。日本史の中村先生、通称歴先生と生徒は呼んでいるそうですが論述の添削を本番5日前にまとめて持って行き怒られた、それでも見て頂きそれが本番で得点につながり感謝しているそうです。歴先生の授業は時代の背景がとても印象に残る授業で東大入試に大いに役立ったと言っています。世界史は配点の大きい大論述で条件の設定を勘違いし解答が少しずれてしまい5点は引かれている、自信があっただけに残念、結果は46点です。世界史は高2高3では校内で1番2番でした。
最後に数学、文系は1問20点で4問です。数学の自己採点の感想欄を紹介します。試験当日の実況中継をしてくれました。全体を見てから解く順番を3→4→2→1としたがこの仕分けかたは大失敗だった。342がまるで解けず数学で0点をとるのか、という悪夢がちらつくなか一縷の望みを持って第1問に挑む。焦って前がみえなかったのでとりあえず時計を確認して深呼吸する。なんだよあと1時間もある(試験時間100分)ということに気づき冷静に問題を読むとさっくり解けた。ただつめがやや甘かったので18点くらいにはなるだろう。結果は342での部分点を加算してもらって24点でした。その田村君、数学は校内の定期試験ではトップ20のランキングには常に名前が出ていて文系では2番3番なのです。その実力で過去問では半分の40点前後は取れていました。文系数学校内トップは田村君と附属中で一緒、志望も文Ⅱで一緒のS君でしょう。S君、今年深志高ただ1人東大現役合格です。附属中で田村君は20番前後だったそうです。一方のS君は校内2番、校内トップは灘高に進学したT君、3番がラサールに進学したK君かなあとのこと。そのS君に国語と社会では勝っていると思うが彼は英語・数学ができると言っていました。高3最後の校内での模試(河合塾第3回記述)では田村君、文系総合123人中1位でした。しかし東大の英語・数学のレベルではS君にはかなわなかった、認めざるを得ません。S君は中学のころから東大をイメージしていたのでしょう。
田村君は入会時志望校は早稲田と言って面談をしました。面談時に東大には興味がないのかと尋ねると大いにあるということで指導がスタートしました。入会直後の7月に実施の進研模試では英語は校内350人中55位、数学は得意で16位、国語102位、この成績では東大現役合格など「夢」の夢、よって入会前は夢の世界、東大挑戦など考えてもいなかった。その田村君、SKCの「ふつうの子を鍛えて一流にする!」この言葉を信じて頑張りました。結果は残念でしたが来年再挑戦で確実に合格です。予備校は東京の駿台予備校を選択させました。東大実戦模試では上位ランキングするでしょう。3月卒業式後にTOEICを受験しました。おそらく目標としていた700点には達していないでしょう。参考までにTOEICは990点満点、英語の学習に力を入れている大学生・社会人中心のインターナショナルな英語能力試験です。リスニングと読解の配点が半々、平均スコアは550点前後、田村君、高2の11月に初めて挑戦しました。スコアは465、受験1年前でまだこのレベルだったのです。得点開示を見てやはり英語であと15点の学力がなかったと本人も自覚、この結果は英語をもう1年しっかりやってこいということだと受け止めました。1年後にはTOEIC800点を目標に夏までは英語中心のメニューで進めることを確認しました。国語・数学はこれ以上は無理という得点でした。力を出し切った結果なので本人も納得です。今年の数学でもう1問完答はやはり無理、S君は2問できたのでしょう。世界史の取りこぼしがなかったとしても今年は無理でした。例年文Ⅲは最低点が文Ⅱと比べて10点前後低い(去年は15点)ので東大合格を優先するのであれば文Ⅲの選択もあった、しかし初志貫徹で後期も出願せずに前期一本で勝負しました。悔いはありません。
後悔があるとすれば、SKC入会直後の期末試験で古典が入会前の中間テスト平均点から校内2位と急上昇しよいスタートを切ったのに夏休みにオーストラリアに3週間ホームステイに行き英語のスタートが1か月遅れてしまったことでしょう。すでに入会前に附属中の同級生に誘われて行くことになっていた・・・入会直後なので本人の意思に任せました。それよりも本人が後悔しているのは中学での英語学習、深志高の合格実績を誇っている塾に通っていました。理社・数学は効果があるとしても、国語も英語もひたすら問題冊子を解いては塾で答え合わせの毎日、典型的な高校受験の塾の学習パターン、本当に時間がもったいなかった、あと半年でも早くSKCに入会していたらと思うと悔しい、附属中の後輩に伝えたいとの思いだそうです。田村君の2年8か月を振り返り、田村君の結果は長野深志に入学した生徒なら上手く勉強すれば国語・社会・数学、これらの教科は高1からでも東大レベルまでの学力を作るのは十分可能であることを示してくれた。しかし英語は一般の塾レベルの学習では東大現役合格はほとんど不可能、その不可能に田村君は挑戦したのでした。